骨軟部腫瘍について
整形外科では主に頸部より下に発生した腫瘍を扱っています。
小児から高齢者まで幅広い年齢層に発生します。
骨・軟部腫瘍は亜型も含めると100種類以上存在し、腫瘍と紛らわしい疾患も数多くあるため、診断・治療には専門的な知識が必要です。
良性、中間悪性から悪性まで非常に多くの種類があり、それぞれ『がん』としての性質が異なります。
骨軟部腫瘍は非常に稀な病気ですが、最も大事なことは、早く正しい診断をして適切な治療を受けることです。
気になる症状のある方は些細なことでもご相談ください。
適切な検査、診断の元専門施設に紹介させていただきます。
このような症状はご相談ください
- 痛みがないしこりがある
- 腫れている
- 手足の関節が曲がりにくい
- 腫れが熱を持っている
- 腫れていて痛みがある
- 些細な外傷で骨折が起こる
骨軟部腫瘍の悪性度分類
その中間に位置する腫瘍もあり、また良性悪性の各グループの中でも性質が異なる疾患が含まれています。
良性腫瘍
良性腫瘍とは、発生した部位から離れた部位へ転移することのほとんどない腫瘍を言います。
また、手術で腫瘍内にメスが入っても腫瘍が散らばる(播種する)ことは希です。
良性骨腫瘍には成人の指に多い内軟骨腫、小児の関節近くに多い骨軟骨腫、小児の上腕骨近位部(肩)に多い単発性骨嚢腫などがあ
ります。
良性軟部腫瘍には全身の皮下に多く発生する脂肪腫、神経の途中が膨らむ神経鞘腫、指に多い伳鞘巨細胞腫などがあります。
腫瘍の播種や転移が無い腫瘍です。
骨・軟部腫瘍の約9割は良性腫瘍です。
臨床所見・画像所見から悪性腫瘍である可能性が非常に低いことが分かっていれば慎重な経過観察をすることが多いですが、圧迫による痛みなど、腫瘍による症状がある場合は手術を含めた治療を行います。
悪性腫瘍
悪性骨腫瘍には若い人に多い骨肉腫や高齢者に多い軟骨肉腫があり、症状は主に四肢の痛みです。
悪性軟部腫瘍には若い人に多い横紋筋肉腫・滑膜肉腫や高齢者に多い未分化多形肉腫・脂肪肉腫があり、症状は四肢の腫瘤です。
悪性軟部腫瘍は体の深い部分に多く、大きくなるまで気づかれないこともあります。
また、悪性骨・軟部腫瘍は急に大きくなることも特徴的です。
検査方法
レントゲン検査(CR=computed radiography)
CRでは骨の変化以外に筋肉や脂肪の変化から腫瘍を診断します。
こちらの検査で骨腫瘍の9割、良悪性の診断が可能です。
軟部腫瘍では、骨への浸潤の有無や腫瘍の存在診断部や診断を行います。
超音波検査
外来で行う簡便な検査法であり、主に軟部腫瘍に行います。
CRで判らない腫瘍の発見や腫瘍の性格を予測することを目的としています。
また手術後の再発のチェックなどもこちらで検査します。
針生検
腫瘍から採取した一部で細胞診断(細胞診)と病理診断を行います。
生検針を用いる針生検と小切開を加えて行う切開生検の2つの方法があります。
MRI
腫瘍の内部構造や辺縁への広がりを確認することが出来るため、診断や手術計画、治療効果の判定に必要な検査です。
CT
CT検査は、骨は非常に分かり易く骨腫瘍の場合特に有効です。
通常の撮影では筋肉と腫瘍の区別がつきにくいため、造影剤を使って撮影することがあります。
核医学(アイソトープ)検査
核医学(アイソトープ)検査は放射線を放出する少量の放射性医薬品を静脈から注射し、体外に置かれた検出器(ガンマカメラ)で体内の状態を撮像する検査です。
部肉腫の治療効果判定や転移巣の検索に有用です。
サイズが小さくてもエネルギー消費が高い病変を見つけることが可能であり、類上皮肉腫や血管肉腫など軟部組織に多発転移を来しやすい肉腫を見つけるのに有効です。
治療法
化学療法
悪性骨軟部腫瘍の中でも骨肉腫、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、滑膜肉腫は化学療法の感受性が高く、それぞれの疾患に応じて化学療法、手術、放射線療法を組み合わせた治療を行います。
多くの種類を占める悪性骨軟部腫瘍は放射線治療のみで根治することは難しく、手術による切除が主流です。
手術療法
悪性骨軟部腫瘍は腫瘍瘍広範切除という方法で、腫瘍を健常な組織で包んで切除します。
周囲の正常組織を切除するため、術前にMRI画像をとり、病理診断と対比させながら切除範囲を決定します。
リハビリテーション
悪性骨軟部腫瘍では、手術後には切除する範囲に応じて、機能障害が予測されるため、リハビリテーションは欠かすことができません。
当院では、骨軟部腫瘍に精通した医師が症状の様子に合わせてリハビリの指示を出します。